PSAについて
PSA(前立腺特異抗原 prostatic specific antigen)は、前立腺がん検診などにおいて、血液検査で調べる前立腺がんの腫瘍マーカーです。前立腺がんの確定診断には、前立腺生検という前立腺の組織を一部採取して診断をおこないますが、PSA値が高いからと言って、必ずしも前立腺がんとは限らず、早急に前立腺生検が必要な場合もあれば、定期的なPSA検査で経過観察をおこなう場合もあります。そのような専門的な判断を下すために、PSA値が高いと言われたら泌尿器科を受診してください。
PSA値が高くなる他の要因
前立腺肥大症:
良性疾患で、大きくなるほど、また、排尿障害が強いほどPSA値が高くなる傾向があります。
前立腺炎:
急性前立腺炎と慢性前立腺炎があり、急性前立腺炎の場合、一時的にPSA値が2ケタ以上に上昇することもあります。慢性前立腺炎の場合、PSA値が常に4.0ng/ml以上で増減を繰り返すこともあります。
前立腺への機械的刺激:
尿道にカテーテルを挿入したり、内視鏡検査をおこなった場合など、前立腺に外部から刺激を加えた際にも一時的にPSA値は上昇します。
PSA値と前立腺がん診断確率
PSA値は一般的に4.0ng/mlを基準値としていますが、4.0ng/ml以下でも、がんが見つかる場合があります。
PSA値 | 前立腺がんと診断される確率 |
---|---|
<4.0ng/ml | 25%以下 |
4.0~10.0ng/ml (グレーゾーン) | 40~50% |
10.0ng/ml< | 60%以上 |
年齢階層別PSA基準値
また、PSA値は加齢とともに上昇するため、年齢が上がるほど、基準値も高くなります。
年齢 | PSA基準値 |
---|---|
50~64歳 | 3.0ng/ml以下 |
65~69歳 | 3.5ng/ml以下 |
70歳以上 | 4.0ng/ml以下 |
診療の流れ
先ほども述べたように、PSA値が高いからと言って前立腺がんとは判断できず、PSA値や年齢などにもよりますが、一般的にはPSAをもう一度測定して、値の変動を見ることが 多いです。
- 初診時に行う検査
- 検尿:炎症や血尿の有無を調べます。
- 直腸診:前立腺が腫大しているか、また、硬い部分が触れるかをみます。
- 超音波検査:前立腺の大きさや不整がないか、残尿の有無などを調べます。
以上から、前立腺肥大や前立腺炎の影響が考えられる場合、それに応じた治療をおこなった後、PSAを再検します。それでもPSA値が下降しない場合や、右肩上がりにPSA値が上昇する場合は、MRI検査で評価をおこなったうえで、前立腺生検を勧めます。