尿の異常
(尿潜血、尿蛋白、尿糖、尿混濁など)を指摘された
健康診断でおこなわれる尿検査は、体に負担をかけずに様々な病気の徴候を知ることができる極めて有用な検査です。一般的な健診での尿検査では、肉眼で混濁(尿の濁り具合)の有無をみたり、尿試験紙で尿潜血、尿蛋白、尿糖などを判定しますが、泌尿器科では、さらに尿を遠心機にかけて、顕微鏡で沈殿物(尿沈渣)を調べ、さらにエコーや血液検査などで、原因を調べます。尿路結石症や悪性腫瘍(がん)、腎炎、糖尿病などがないか、一度、泌尿器科で精査を受けるようにしましょう。
以下、検尿異常で代表的な尿潜血、尿蛋白、尿糖について説明します。
(1)尿潜血
尿中に赤血球が混じっている状態です。尿沈渣(顕微鏡検査)では、1視野に赤血球が5個以上見つかった場合、血尿と診断されます。
【原因】
感染、結石、悪性腫瘍(がん)、腎炎、その他、ナットクラッカー現象と言われる腎血管異常や激しい運動後に血尿が見られる場合もあります。尿潜血は精査しても原因がわからないことが多く、約8割は原因不明と言われています。しかし、約2~3%に悪性腫瘍(がん)が見つかる場合もあるため、定期的に尿検査を受けることをお勧めします。
【検査】
①尿沈渣
尿中に赤血球が認められれば、大小不同や変形がないか、また、円柱とよばれる分泌物がないかを観察し、腎炎、尿路結石症や悪性腫瘍など原因を調べます。また、白血球や細菌の混在がみられれば、尿路感染症を疑います。
②尿細胞診
尿の中に悪性腫瘍を疑わせる細胞がないかを調べます。尿細胞診が陽性の場合、膀胱の内視鏡検査やCTなどでさらに精査する必要があります。
③採血
尿中に蛋白も同時に認められた場合、血液検査をおこない、腎機能障害の有無や腎炎の有無などを調べます。
④超音波検査
腎臓や膀胱に結石や腫瘍がないかなどを調べます。
⑤その他
膀胱がんが疑われれば、内視鏡検査をおこなったり、結石が疑われれば、X線検査で精査します。
(2)尿蛋白
血液中の蛋白質が腎臓で正常なろ過、吸収ができずに尿中に漏れ出している状態です。腎臓に障害がなくても、起きているときのみ蛋白尿を認める起立性蛋白尿や、激しい運動、発熱やストレス、妊娠時に一時的にみられる機能性蛋白尿があります。また、尿路感染、腫瘍などにより、血液や粘液などが尿に混入し蛋白が検出される場合もあります。
【検査】
①尿沈渣
血尿(赤血球の大小不同、変形)の有無、円柱の有無、白血球など尿路感染の有無などを顕微鏡でしらべます。
②早朝尿検査
起床時の尿を持参していただき、蛋白が陰性であれば、起立性、運動性蛋白尿の可能性が高くなります。
③尿蛋白定量
24時間貯めた尿を持参していただき、その中に含まれる蛋白の量を測ります。尿蛋白量が多ければ、腎臓の組織を一部採取する腎生検が必要となる可能性があります。
④尿蛋白/尿中クレアチニン比
外来通院で、尿を24時間貯めることが難しい場合は、随時尿で蛋白濃度と、尿クレアチニン濃度の比(尿蛋白/尿中クレアチニン比)を測定します。これは、1日尿蛋白量に相当します。
⑤採血
腎機能障害の有無や腎炎の有無などを調べます。
⑥超音波検査
腎臓に萎縮や奇形がないかなどを調べます。
(3)尿糖
尿糖検査とは、尿の中のブドウ糖の量を調べる検査です。通常、血糖値が160~180mg/dLを超えると尿糖が陽性になります。ただし、腎性糖尿のように血糖値は正常であっても、尿糖が陽性になる場合もあります。尿糖で異常が見られた場合、血液検査で血糖値やヘモグロビンA1cなどを調べます。