尿が全く出ない
尿がまったく出ない場合、尿は正常に産生され、膀胱にたまるけど、排尿できない尿閉と、腎臓の機能低下、あるいは尿管の閉塞により、膀胱に尿がたまらない無尿、あるいは乏尿があります。いずれも早急に治療が必要ですので、すぐに受診をしてください。
1.尿閉について
尿閉には完全に排尿できない完全尿閉と、一部は排尿できる不完全尿閉があります。
尿閉の原因
- ①尿道に何らかの通過障害がある場合
- 急性尿閉とも呼ばれ、たいていは前立腺肥大症による尿道閉塞が原因となります。尿道に結石が詰まった際に尿閉をきたすこともあります。
- ②膀胱の機能低下によるもの
- 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、パーキンソン病などの神経変性疾患、脊髄損傷、直腸がん、子宮がんなどの骨盤内手術後、糖尿病などにより膀胱の働きをつかさどる神経が障害されて起こるもので、尿意も損なわれている場合が多く、慢性尿閉とも呼ばれます。
2.乏尿、無尿について
尿の排泄量が低下し、一日尿量が400ml以下になった状態を乏尿、さらに尿量が低下し、一日100ml以下になった場合を無尿といいます。乏尿や無尿は、腎前性、腎性、腎後性の3つのタイプに分けられます。
- ①腎前性
- 脱水やショック、出血、心不全などにより腎臓への血液供給が減少することにより起こります。
- ②腎性
- 糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、慢性腎不全など腎臓そのものの機能障害が原因となります。
- ③腎後性
- 両側尿管結石、骨盤内悪性腫瘍、リンパ節転移などによる尿管の圧排など、両側尿管に閉塞をきたした場合に起こります。