腰が痛い、脇腹、下腹部が痛い(尿路結石かもしれない)
腰痛、腹痛の原因にもいろいろありますが、尿路結石、特に尿管結石による痛みは、 発作的に症状をきたすことが多く、突然の激痛に襲われます。しかし、発作が治まると ケロッと痛みが消失するのが特徴です。
尿路結石とは
尿の通り道を尿路と呼び、腎盂、腎杯、尿管、膀胱、尿道に分けられます。
この尿路に結石がある状態を尿路結石と呼びます。結石の存在する部位により、上部尿路結石(腎結石、尿管結石)、下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)に分けられます。日本人では95%以上が上部尿路結石です。
近年、食生活の欧米化(高カロリー食、高脂肪食)に伴い、尿路結石の患者数も増加(1965年から2005年までの40年間で約3倍に増加)しており、生活習慣病のひとつと言っても過言ではありません。
尿路結石は女性より男性に多く(男女比2.5:1)、男性は30~60歳代、女性は50~60歳代に多い病気です。男性は7人に1人、女性は15人に1人が一生のうち1回は尿路結石を経験すると言われています。
【症状】
- 腎結石
- ・・・無症状のことが多い
- 尿管結石
- ・・・結石が尿管に詰まる ◎背中や脇腹、下腹部の突然の激痛
◎吐き気や嘔吐
◎血尿
◎発熱(尿路に感染をきたした場合)
◎頻尿、排尿時痛、残尿感(結石が膀胱付近まで下降した場合)- 膀胱結石
- ・・・無症状、あるいは血尿、尿が濁る、排尿時痛、頻尿、残尿感など
- 尿道結石
- ・・・血尿、排尿時痛、尿が出にくい、尿がしたくても出ない
【診断】
- ●尿検査:
- 必ずしもみられるわけではありませんが、肉眼的血尿あるいは尿潜血はしばしば認められます。尿路感染を伴えば、膿尿(白血球)も認めます。
結晶を認めることもあります。- ●レントゲン検査:
- 腎臓から膀胱までを含めたレントゲン検査をおこないます。
レントゲンには写らない結石もあります。- ●超音波検査:
- 腎結石や膀胱結石あるいは水腎症(尿管に結石が詰まって、腎臓に尿がたまっている状態)の有無を診断するのに有用な検査です。
- ●血液検査:
- 腎機能の低下や尿路感染が疑われる場合、あるいは高カルシウム血症や高尿酸血症などが疑われる場合に適宜おこないます。
- ●CT検査:
- レントゲンに写らない結石や、微小な結石を判断する場合に有用です。
【治療】
- ● 鎮痛剤:
- 痛みをきたしている発作時の応急処置として、痛み止めの注射や座薬、内服の処方をおこないます。
- ●自然排石を待つ:
- 結石が小さければ、鎮痛剤や、排石を促す薬を処方した上、水分摂取と運動を促しながら、経過観察をおこなうことが多いです。
- ●外科的治療:
- 結石サイズが大きければ、結石を砕く治療をおすすめします。治療手段には以下のものが挙げられます。 ① 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
体外で発生させた衝撃波エネルギーを結石にぶつけて砕く治療です。
② 経尿道的腎尿管砕石術(TUL)
尿道から内視鏡を挿入して、腎・尿管内の結石を砕く治療です。
③ 経皮的腎砕石術(PNL)
体の外から腎臓内に内視鏡を挿入して結石を砕く治療です。
【再発予防】
尿路結石は非常に再発しやすく、患者さんの2人に1人は5年以内に再発すると言われています。よって、結石の治療が終わったとしても、再発を防ぐため、生活習慣の改善のポイントを指導させていただきます。また、再発のチェックのため、定期的な受診をおすすめします。